反ダイオキシンキャンペーンにうつつを抜かしていたマスコミはこの話を大きく取り上げ「家庭用焼却炉の購入補助制度中止」それを真に受けた厚生省は通達を出し、文部省も学校の焼却炉を禁止した。
それで私は大学での書類が燃せなくなってずいぶん迷惑した覚えがある。
日本の役所はいとも簡単にだまされるということがこれでよくわかる(京都議定書も、第3章、で述べる外来種駆除の話も、同じようにだまされているわけしかし話はそれだけで終わらなかった。
98年に錚々そうそうたる作家、弁護士、医師、大学教授たちが50人もだまされて、「ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議」なる組織が作られ、ダイオキシン対策は立法化の動きを強めることとなった。
ここからウソから出た法律が作られることになる。
ダイオキシン法を廃棄しようすでに述べたように、ダイオキシン類対策特別措置法(ダイオキシン法)は1999年7月に成立して2000年の一月に発効し2002年12月から本格的に適用されている。
ゴミの焼却から発生するダイオキシンは1975年にTCDD換算で約2.5 だったものが直線的に増え続け1997年には7 弱まで増加した。
しかしその間に国民の一日摂取量は約84gから2g弱にまで減少したのだから、我々の体に取り込まれる、ダイオキシンの量はゴミ焼却によるダイオキシンの量が増えれば増えるほど減少していたわけだ。
ここから言える結論はひとつしかない。
体内に取り込まれる、ダイオキシンのほとんどはゴミの焼却とは無関係な原因によって作られるに違いないということだ。
体内に摂取されるダイオキシンの大半は農薬起原で、ダイオキシンが混入している農薬の使用を1970年代後半に禁止して以来、摂取量が減少し続けている話はすでにした。
したがって焼却炉から排出されるダイオキシンを、ものすごく高価なハイテクの焼却炉以外では達成不可能な基準に設定しなくても、我々の健康には問題はないということだ。
そういう主張をすると、ダイオキシンは毒なのだから少なければ少ないほどよいに決まっているという反論をする人が必ずいる。
私だってもちろんその通りだと思う。
問題はそれにかかるコストがどのくらいかということだ。
たとえばプールに入っている細菌の数は少ない方がよいに決まっているが、少々の細菌を飲んでも病気になる人はいない。
これならばまず絶対に安全な基準というのがあるとして、その基準をクリアーしていれば、細菌の数をその基準の10分の1や100分の1にしてもしなくとも安全という点では変わりはない。
ましてやそのために莫大なコストがかかるのであれば、無理にコストをかけるのは愚かであろう。
普通のプールに比べ細菌の数が100分の1しかいないプールを造ったとしよう。
それを維持するコストが莫大で 万円にしないとやっていけないとしてお客さんが入るかどうか考えてみればよい。
民間のプールであれば間違いなく潰れるだろう。
ただし、潰れない場合がひとつだけある。
法律で地方自治体にこういったプールの設置を義務付けてしまえばよい。
名目は国民の安全と健康を守るため。
立派なしかしそのために税金が湯水のように使われて損をするのは納税者だ。
税金はもっと有意義なことに使うべきだ。
それでは得をするのは誰か。
の製造会社あるいは監督官庁の役人である。
だから、そういう立場にいる人には絶対安全プール法。
なんて法律ができないかなあと思うだろう。
ダイオキシン法は実にこういった類の法律なのだ。
ダイオキシン法が施行されて得をするのはまずハイテクの焼却炉を作るメーカーであり、ダイオキシンの分析をする業者であり、監督官庁の役人だろう。
だからこういった人たちがグルになって、ダイオキシン法を作りたいと思ったとしても不思議はない。
ダイオキシン法への流れは1990年に作られたダイオキシン対策のための「旧ガイドライン」から始まる。
旧ガイドラインは新設焼却炉の目標値としてダイオキシン排出ガイドラインの手引き書の執筆者18名のうち、12名が焼却炉メーカー、1名が分析メーカーの人であったという。
W辺とHの『ダイオキシン』には旧ガイドラインの勧告で起きたあきれるような話が書いてある。
「ダイオキシンの分析は一定レベルの技術を確保するためと称し、厚生省がトップダウンで分析業者・機器を指定した。
当時の分析経費3試料およそ100万円という海外の数倍という法外なものだった。
99年4月、公正取引委員会が査察に乗り出したところ、全国の自治体が発注してきたダイオキシンの分析会社・財団法人の大半が談合していたと判明。
焼却炉メーカーはどうだったか。
5社が94年から98年までに落札した71件だけで総額は1兆346億円にのぼり、東京都の幹部18名が天下ったといわれる某メーカーは、都と4540億円の契約をした。
1998年8月に公正取引委員会は、全国のゴミ焼却施設をめぐる談合容疑で大型炉メーカーの大手5社に排除勧告をした。
監督官庁と業界がグルになって税金を自分の懐に入れたわけだ。
マスコミを煽ってセンセーショナルな報道をさせて国民にこれに味をしめたというわけではないだろうがダイオキシンは恐ろしいとの観念を植えつけて不必要な規制をもっと強めてさらに儲けようとの運動がはじまる。
どんな恐怖物語りが流布されたかはすでに述べた。
人は見えないものやことには恐怖を抱く。
旧ガイドラインより厳しい「新ガイドライン」が97年に答申され、反ダイオキシン運動は佳境に入っていく。
新ガイドラインはダイオキシンの排出量を1997年レベルに対して2017年には99・6%も減らすというすさまじいもので、そのためには既設炉を廃止するか改修してさらに新設炉を造り、これらの改修炉や新設炉も10年ごとに更新しなければならない。
新設炉の排出基準は廃ガス規制法に定められた。
ガイドラインだけではあきたらずこれを罰則規定つきの法律に格上げしたのがダイオキシン法だ。
99年2月の所沢のダイオキシン含有ホウレンソウ騒ぎからはじまった狂騒は、科学的知識に乏しい議員たちを巻き込み、一気に、ダイオキシン法が成立してしまった。
だました科学者も悪いけれど、だまされた議員もアホであったことは確かだね。
法律ができてゴミ焼却のコストはべらぼうに上昇した。
確かにダイオキシンの排出量は97年レベルに比べて2005年には95%以上減少したが、もともと健康被害が出るようなレベルではなかったのだからそれで国民の健康が左右される話ではなかった。
問題はそれにかかったコストだ。
全国で総計4兆円とも5兆円とも言われる莫大な税金が使われた。
これからもダイオキシン法を守り続けると、年々何千億円が必要だという。
1997年レベルに対して2017年には99・6%も減らすというすダイオキシンのかわりに税金がたれ流される構造ができたのだ。
現在、固と自治体の赤字は1000兆円に達する勢いであるがこういうことをしていたら、赤字が減るわけはない。
巨費を投じて高級焼却炉を建設してダイオキシン排出量を0.1gまで減らさなくとも、既存の焼却炉でも簡単な手入れでダイオキシンを安全なレベルまで減らすことができる。
それに高級焼却炉は管理が難しく、条件が少し狂うと正常に機能しない。
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